冬型ケープバルブ。アルブカと仲間たち

冬型ケープバルブ。アルブカと仲間たち

目をみはるようなフォルムで、ビザール・プランツ界でもひときわ異彩を放つ植物群、ケープバルブ(Cape bulb)。

南アフリカのケープ州(Cape province)に自生していることと、球根(bulb)を形成する種が多いことからこう呼ばれています。

上から、Tranchyandra sp. Kliprand WCOrnithogalum sardieniiAlbuca bruce-bayeri

うねる。巻く。ぼさぼさ。とにかく個性がゆたか。

冬型Cape bulbの中で最も普及しているのがアルブカ属。交配させた園芸品種も流通しています。

↑Albuca concordiana

↑Albuca bruce-bayeri

アルブカは葉を巻く種が多く、巻き方も多様。こと園芸においては「巻き」こそがアルブカの本分。できればきれいなぐるぐるをつくりたいもの。

 


アルブカの葉を美しく巻くコツ

  1. とにかく光によくあてる
  2. 風と強水勢葉水でコシのある葉をつくる
  3. こまめに鉢回し
  4. からまっていたら、そっとほどいてあげる




1. とにかく光によくあてる


葉が巻くのはオーキシンという植物ホルモンの「光屈性」という働きによるものです。
光刺激を受けるとオーキシンは反対側(陰側)に集まり、その側の成長を促進することで、葉や茎が光の方へ曲がる「光屈」を引き起こします。
つまり、光の側は縮み、陰の側は伸びることでしだいに葉が変形し、品種によってはぐるぐると巻いていくのです。

葉を巻くのは、
①強い紫外線から葉を守るために陰の部分を増やす。
⓶風にさらされる部分を減らして、貴重な水分を逸失させないようにする。
③バネやゼンマイ状になることで強風に耐える。

上記のような植物の防御反応だと推察できます

気の遠くなるような長い年月をかけた、過酷な環境に対する最適解があの形なのです。

できれば屋外で長時間直射日光にあてるのがもっとも効果的ですが、屋外がむずかしい場合、LEDでも巻きを維持できます。

日光とLEDを併用して、補い合うのもよいと思います。

屋外に置く場合、霜には注意します。


2. 風と強水勢でコシのある葉をつくる

光と同様に大切なのが風。アルブカの自生地がとても風が強い場所であるというのはよく知られています。
ECHO PLANTSでは、強風が確保できない場合、強い葉水で代用しています。
霧吹きの水勢をMaxにして強刺激をあたえることで、エチレンというホルモンに働きかけ、「よりよい形」にする方法です。ノズルを調整し、水の出方を「霧」ではなく「線」にするのがコツです。
ノズルを調整できるスプレイヤーが便利です。

※水を打つことで、アルブカの葉が痛んだことはありませんが、葉が柔らかい品種などは徐々に様子をみたほうがよいと思います。


3. こまめに鉢まわし


アルブカの葉は前述のオーキシンの光屈性の作用により、光の方へ傾いてしまいがちです。
こまめに鉢まわしをすることで、一方向に傾きすぎてしまうことを防ぐとともに、まんべんなく光刺激をあたえることで、「光屈性→グルグル」の恩恵をブーストします。


4. からまっていたら、そっとほどいてあげる

強風や強い葉水により、グルグル同士がからまってしまうことがよく起こります。
自生地では複雑にからみあうことで、風に対する強度を確保しているようですが、審美的に気になる場合、やさしくほどいてあげましょう。寄りかかる対象がなくなり、葉のトレーニングにもなります。





* * *




冬形ケープバルブの育成




成長期(秋〜春)

意外と水が好きな品種が多い。成長期は表土がかわいたらたっぷり水をあげる。※乾燥を好む種もある
活力剤で細胞づくりを補う。

霜と雪、凍結に注意。


休眠期(春〜夏)


日陰や室内に置き、休ませる
水やりは月に一度ていど
高温時間帯に水をやらない。とにかく蒸らさない!


ふやしかた

受粉
分球


肥料

肥料要求度がさほど高くない品種が多いです。
肥料を多くあたえると育成スピードは上がる一方、肥大化してフォルムがくずれやすくなります。※大きく育てたい場合には有効です。

ECHO PLANTSでは土に元肥を入れず、葉の様子をみながら、2000〜4000倍に薄めた液肥を月に1,2回程度与えています。
花を咲かせた後はかならずお礼肥をあげます。



● 葉先がチリチリになる、チップバーン様の症状の対策

アルブカを育てていると、葉先が枯れ込むことがよくあります。
いわゆるチップバーンと呼ばれる生理障害です。

可能性があるのは

水不足
カルシウム不足
風(空気の循環)が不十分
休眠移行期



これは文献をあたっておらず、現時点での経験則ですが、水をこまめにしっかりあたえていると、葉先の枯れ込みはある程度予防できるようです。※乾燥を好む種もあります。
農業では、いちごなどの葉のチップバーンに対してカルシウムを施用して予防をはかることが多いとのこと。カルシウムを含むリキダスなどの活力剤を定期的にあたえることで、チップバーンの発生が抑えられる可能性があります。

また、無風で空気の循環がすくないと、葉は水分の蒸散ができず、葉先が枯れ込んでいきます。栄養が葉先に届かないためです。蒸散と養分の供給はリンクしています。

休眠期に入るころには葉先から枯れていき、最後には葉がなくなる種が多い印象ですが、なかには落葉しない種もあります。


● 用土

極小粒程度の、排水性と保水性のバランスがとれた土が適しています。

ECHO SOIL Regular Mix X-SmallGrainはケープバルブのほとんどに適した粒度と配分です。また、硬い素材が根に適度な負荷をかけることで、エチレンの作用を増やし、しっかりとした植物体の形成を助けます。

多彩な冬型ケープバルブの育成をたのしみましょう。



* * *


※本稿は筆者個人の経験や、調査、考察、実験、思索を基に書かれています。

生産者から聞き取った情報や、研究者による論文、メーカーが公開したデータなど、できる限りエビデンスに依拠するよう心がけていますが、個人的な主観や、嗜好、推察も含まれています
思い違いをしている場合もあるかもしれません。
あらかじめご承知おきください。
新しい情報が得られた場合には、逐次加筆修正をしていきます。

育成データは東京・武蔵野を基準としています。

ブログに戻る