おさえておきたい植物ホルモン Part 1 エチレン

おさえておきたい植物ホルモン Part 1 エチレン

植物を育てる以上、健康でよい形姿(なりかたち)にしたいもの。

植物特有のホルモンとその作用を知り、利用することで、より自然に近い形、理想の姿に近づけることができます。


● 盆栽のテクニックに学ぶ

ECHO PLANTSでは植物のフォルムを作り込んだり、形を維持する際に、盆栽のテクニックを多く参考にしています。
究極の園芸ともいえる盆栽の世界では、植物を理想の姿に近づけるために、さまざまなテクニックを駆使することが知られています。
その中でも、とくによいフォルムの形成のために働きかけるのがエチレンというホルモン。

エチレンは環境応答に関わるホルモンです。野菜や果物の鮮度や完熟度を左右するエチレンガスがよく知られていますが、そのほかに物理刺激に応答し、樹形を変化させることでストレッサーから防御をはかるはたらきがあります。


● エチレンはどのようにはたらくか?

自然界の植物は風や雨、虫、動物、他の植物による侵略など、絶えず刺激(ストレス)にさらされています。
物理刺激によりエチレンが分泌されると、縦方向への成長が抑制され、横方向への成長が促進されます。
その結果、安易に倒れたり折れたりしないよう、幹はがっしりと、枝は短く、葉は小さくなります。
つまり、コンパクトでがっしりとした樹形になりやすいのです。

盆栽の名品によくみられる、ミニチュア・サイズなのにしっかりとした古木のようなフォルムと風格はエチレンの恩恵によるものです。

一方、人工栽培下では物理刺激が少ないので、間伸びした樹形になりやすい。
では、エチレンの作用機序を人為的に再現し、自然の姿に近づけるにはどうしたらよいでしょうか?



● 物理刺激でエチレン合成を促進する具体的な方法の例


  1. 水を打つ

    盆栽のテクニックのひとつ。水による刺激。
    霧吹きのノズルを調整して、手に当たるとすこし痛いくらいの水勢で葉の裏、表、幹、とくにせいちょうてんに刺激をあたえます。
    シャワーの強い水流を葉や幹に当てるのも効果があります。


  2.  手でよく触れる

    枯れた葉を取り除いたり、虫の有無をチェックしたりする際に植物に触れる、毎日の確認作業がそのままエチレンの分泌促進になります。


  3. ブラシなどで刺激をあたえる

    歯ブラシやちいさな手ぼうきなどで、葉や幹などを軽くこする。キズにならない程度に刺激します。


  4. 風を当てる。

    サーキュレーターなどで風を当てます。


  5. 機械的ストレスをあたえる

    剪定、芽摘み、針金かけなどを適切に行うことで、徒長を抑制します。


  6. 硬い土に植える

    根が成長する際にストレスがかかり、樹形がよくなります。



※ 上記の例はすべての植物に有効というわけではありません。



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盆栽ではよりよいフォルムに育て上げ、風格を持たせることを樹格を高めると言います。
エチレンの作用を上手に利用し、お気に入りのひと鉢の樹格を少しづつ高めたいものです。


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本稿はおもに筆者個人の経験や、調査、考察、実験、思索を基に書かれています。
生産者から聞き取った育成情報や、研究者による論文など、できる限りエビデンスに依拠するよう心がけていますが、個人的な主観や、嗜好、推察も含まれています。
また、思い違いをしている場合もあるかもしれません。あらかじめご承知おきください。

育成データは東京・武蔵野を基準としています。

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